【書評】この一冊ですべてわかる営業の基本 横山信弘
【営業の定義】
…営業とは、「お客様」の利益を支援し、その「正当な対価」をいただく仕事のこと。営業という仕事は、「①お客様」「②利益=お客様が求めているもの、得たいと思っている結果」「③正当な対価」の3つの要素に分解できる。(P.14)
求められるのは「お客様視点」
提案する商品やサービスをお客様が手に入れることによって、
「どういった生活が手に入るのか」
「どのように業務が効率化され、企業の生産性が上がるのか」をイメージさせる
↓
「このお客様には、どのような話をしたらいいか?」
「どういう提案をすれば、お客様の心を動かすことができるか」
「どのように説明をすれば、この商品の有用性を理解していただけるか?」
を、お客様のレベル感に合わせて常に試行錯誤する
↓
・正しい付加価値(課題の早期発見と課題に即した解決策)を提供する存在(P.18)
消費者の購買行動には、段階的なプロセスがあります。消費者は、購入に至るまでに、次のプロセスを踏むと考えられています。
Attention(注意)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)
このプロセスを説明するモデルが「AIDMA(アイドマ)です。」(P.33)
①認知段階
A:Attention(注意)…お客様は、まだその商品やサービスを知らない状態
②感情段階
I:Interest(関心)…商品やサービスを知り、興味や関心を持った状態
D:Desire(欲求)…商品やサービスを「使ってみたい」という欲求が芽生えた状態
M:Memory(記憶)…その商品やサービスを完全に覚えた状態
③行動段階
A:Action(行動)…購買行動を起こす状態 (P.67~68)
☞塾の場合、A・Iの段階は新規問い合わせの段階でクリアしている。
一方で、季節講習の講座などはAの段階から始まることもある。
・第1印象
…相手を「はじめて」見た瞬間に、相手の見た目などの視覚情報や、声の大きさや明るさといった聴覚情報から受ける印象のこと
・第2印象
…少しの時間、接触をしてから抱く相手への印象のこと。就職活動の「面接」などで最重視される項目。会話の内容や受け答えの際のしぐさなど、コミュニケーションをとおして判断される。
「パッと見はいいんだけど、話し始めたら全然ダメだった。自己中心的な印象を受けた」
「最初は暗い感じの印象を受けたけれど、コミュニケーションをとってみると、冷静で、かつ論理的な受け答えができる。判断能力に優れている印象を受けた。」
このように、「最初は〇〇〇〇という印象だったけれど、すぐに別の印象を感じた」と第1印象とのギャップによってつくられる印象。
・第3印象
…長期にわたる行動と結果で判断される印象のこと。第1印象、第2印象が「点の情報」だとしたら、第3印象は「線の情報」。日ごろから正しい行動をとっているか。愚痴をこぼさず、不安や不満を口にせず、淡々と組織に貢献する行動ができるか。お客様の要望にスピーディに応じることができるか。こうした行動習慣によって形作られる印象。(P.88~89)
☞もっとも意識すべきは第3印象。第1印象がいくらよくても、その後がいい加減なら台無しとなる。
【木戸に立てかけせし衣食住】…最低限の雑談スキル
・き→季節
・ど→道楽
・に→ニュース
・た→旅
・て→テレビ
・か→家庭
・け→健康
・せ→世間
・し→仕事
・衣食住 (P.97)
☞話すスキルとともに、聞くスキルも磨いていきたい。
【戦略と戦術】
・戦略…どういった商品をつくり、どのような価格で、どのように販売していくかといった、目標を達成するための計画やシナリオ。
・戦術…戦略を実施するための(目標を達成するための)、個々のお客様に対してどう関係を構築するか、どのような販促ツールを用い、どのような話し方を選択すべきか。戦術は技術ともとらえられるので、トレーニングによって身につけるべきものが多い。具体的な手段や売り方。(P.147)
☞私がいま、身に着けるべきは後者。
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営業とはどのような活動なのか、どういった心構え、準備が必要で、どんなスキルが必要なのか。さすが基本書として定評のある「この一冊ですべてわかる」シリーズだけあって、よくまとまっていると思った。
営業にも段階があり、私が今後担うことになると予想されるのはAIDMAでいうD以降の部分が中心になりそう。具体的なフローについての知識やイメージを持ちたい。