「チョークとソロバン」両立への道

塾講師として数字を出す「営業力」を身に着ける勉強ブログ

【書評】雑談の一流、二流、三流 桐生稔

【最初の一言】

一流の人の会話を紐解くと、必ず会話の主題が相手にあることに気づきます。

こんな会話です。

「今日は暑いですね。今日は30℃を超えるそうですよ。夏バテとか平気ですか?」

「今日は本当に暑いですね。ちょっとクーラー効き過ぎですかね?大丈夫ですか?」

「今日は暑さがすごいですね。しかし〇〇さんって夏男って感じですよね。夏はお好きですか?」

このように話題の矢印を必ず相手に向けて、相手が話しやすいテーマを設定しています。

☑一流は、相手に焦点を当てることからはじめる(P.24~25)

☞自分のことばかり話している人との会話は、あまり続かない。相手にフォーカスすることは、営業のトークにおいても共通するポイントだと感じる。

 

【出会い頭の挨拶】

自然に会話をスタートするには、挨拶にも仕掛けが必要です。

その仕掛けとは、「ツープラス」です。挨拶にもう二言追加するのです。

「おはようございます。(挨拶)昨日は遅くまでありがとうございました。(一言)しかし部長、本当にタフですね。(二言)」

「おはよう!(挨拶)昨日の飲み会楽しかったね。(一言)アレははしゃぎすぎでしょ。(二言)」

「はじめまして。(挨拶)お会いできて光栄です。(一言)噂はかねがねお聞きしております。(二言)」

(中略)

一流は先手を取るのが上手です。先手とは先に話しやすい空気をつくることです。

挨拶は雑談の一番はじめ。会話のエンジンをかけるかのように、挨拶にもう二言追加して会話をスタートさせてみてください。

☑一流は、挨拶にツープラスする(P.31~32)

☞一言プラスは、会話術の本でもよく紹介されているが、結局そのあとが続かずに沈黙してしまうことも多い。二言プラスするよう意識することで、前項でもあったように相手にフォーカスした発言を入れることもできる。

 

【雑談上手】

人間は聞いている時間よりも、話している時間のほうが、あっという間に過ぎるのです。いかに相手が話したくなるような空間をつくるか、ここが最大の腕の見せ所です。

それを実現するには、一流が使っている「接続詞」に注目してください。

「〇〇さんってテニスを10年もやられているんですか?ということは(接続詞)、学生時代からずっとですか?」

「そうすると(接続詞)、健康には結構気をつけているタイプですか?」

「ちなみに(接続詞)、他にも体を動かすことやられているんですか?」

「ということは」「そうすると」「ちなみに」、これらはすべて話を進める接続詞です。

☑接続詞を使って、相手から自然に会話を引き出す(P.49~51)

☞入試の直前期になると生徒と面接練習をすることがあるが、その際に生徒から発言を引き出すために「ということでしたが~」「そうなると~」「ちなみに~」といった接続詞を自然に用いていたことを思い出した。あまり使いすぎると、尋問のようになってしまいそうなので注意したい。

 

【質問のボキャブラリー】

1.会話を「深める」質問・・・なぜ?どうして?

2.会話を「広げる」質問・・・他には?

3.会話を「進める」質問・・・それで、それから

☑一流は相手が話したくなるように質問する

☞「超一流の雑談力」でも、話題を横に広げていきながら、相手の関心に引っかかる話題を深堀りするという雑談の基本が紹介されていたが、それに通じる話だと思う。

nekomin.hatenablog.jp

 

【ほめるところ】 

入社、3か月経過した新卒が、いまだに1件も契約が取れていないとします。しかし3か月前は一人で営業に行くことすらできなかったわけですから、それと比較すれば一人で営業に行けること自体が伸びしろです。

そんな新卒に声をかけるときは、「今はガンガン一人で営業行ってるんだって?すごいね」とか、「今は面構えが社会人になってきたね」と声をかけるとよいでしょう。

ほめるところがない場合でも、過去との比較、つまりBefore→Afterを見ることで、ほめるポイントを発見することが可能です。

☑過去と現在の比較でほめるポイントを発見する(P.72~75)

☞なかなか成績が伸びない生徒を励まし、勇気づけるときによく意識すること。

 

【コメント】

これは私の失敗談ですが、以前、私が心理学を勉強し始めた頃、ある人が私に「最近、能力開発に目覚めまして、心理学を勉強しているんです」と話しかけてきました。

私はこれみよがしに、「そうなんですか!いや~私もなんです。今ユング心理学を勉強してましてね。やはりユングフロイトは明確に違いますね~」なんて得意げに話を被せていたら、その人は場を去ってしまいました。(P.103)

☞私も似たような失敗経験がある。なまじ知識があるとやってしまいがち。相手は話を聞いてほしいから、話しかけてきている。コメントを被せるのではなく、承認のコメントがまず出てくるようにしたい。

 

【年配との雑談】

人間は、目上の人が目下の人を指導するようにできています。

(中略)

例えば、上司との会話で、

「〇〇さんって知識の量がすごいですよね」よりも、

「〇〇さんって知識の量がすごいですよね。どうしたらそんなにインプットできるんですか?」と教えを乞う。

キーワードは、「どうしたら」「なぜ」です。

☑経験則を引き出すような質問をする(P.162~165)

☞これもなまじ勉強している人あるあるだが、相手が何かを教えてくれた時、自分も知っているアピールをしてしまうことがある。仕事の会話で効率を上げるためにそうした返しが必要なこともあるが、雑談に効率も何もない。それどころか、せっかく知らない情報が手に入るかもしれない機会を損失してしまうことにもなる。気を付けたい。

 

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本書の奥付を見ると、初版発行は2020年3月16日。それが2020年7月15日の時点で第39版発行となっている。それだけ「雑談が続かない」「雑談ができるようになりたい」と感じている人が多いという証なのだろう。

かくいう私自身、雑談はどちらかというと苦手な方だが、その原因は「自分が何を話すか」にフォーカスを当てていたからなのだと気づかされた。

相手にいかに気持ちよく話してもらうか」これを意識するだけで、だいぶ変わりそうな気がする。ツープラスや接続詞をさっそく意識して使ってみたい。

 

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