「チョークとソロバン」両立への道

塾講師として数字を出す「営業力」を身に着ける勉強ブログ

【書評】超一流の雑談力 安田正

【雑談がうまい営業マンAの会話例】

A「しかし、最近の異常な大雨には困ってしまいますね。今も駅についた瞬間に降られてしまいました」

B「急に降ってきますからね」

A「そうなんです。なかなか天気が読めないので、週末も外へ行く予定が立てられなくて困っているんですよ」

B「ありますよねえ、私も先週予定がつぶれてしまいました」

A「ええっ、それは災難でしたね!どこに行かれるつもりだったんですか?」

(↑掘り下げ開始)

…と、入りは天気の話題でしたが、「天気(雨)」→「週末の予定」とテーマが移動しています。基本的には一つの話題をフックにして、相手の反応を見ながら話題を変えていき、相手がどこに引っかかるのかを探っていく。引っかかる話題があったら、深堀りしていく…と、これが雑談の基本的な流れになります。このやり取りの中で相手のことを知り、自分のことを知ってもらい、距離を縮めていくのです。(P.56~57)

☞ヨコに話を展開しつつ、引っかかった話題でタテに深堀りする。この基本を押さえておくだけで、実際は雑談は盛り上がり、続くようになると感じる。そのために、展開する取っ掛かりと、深堀りするための情報や知識は、常に集める意識を持ちたい。まさしく「教養」が活躍する場面だろう。

 

【オウム返しで相手の話を促す】

では、相手の話題がこちらの知らなかったキーワードだったり、詳しくない分野だったりした場合、どうすればいいでしょうか?

こういうときに流れを止めないテクニックとしては、「オウム返し」があります。その名の通り、相手の言葉と同じことを伝えるのです。

 

B「この前、マラソンの大会に出たんですよ」

A「えっ、大会に出られたんですか」

 

と、このような受け答えも間違いではありませんが、100点ではありません。オウム返しのポイントは、質問形式で返すなどして、話が広がりそうな言葉を付け加えることです。

 

B「この前、マラソンの市民大会に出たんですよ」

A「えっ、大会に出られたんですか、フルマラソンですか?」

 

といった具合です。オウム返しをすることで相手が詳細な説明をしてくれたり、オウム返しをしている数秒の間に何か会話が広がるような質問を考えることができますので、とても使えるテクニックです。(P.90~91)

☞どれほど情報を集めていても、よく知らない分野というものは出てくる。そこで「聞くスキル」の出番となるわけだが、ポイントは「聞き上手は引き出し上手」ということ。オウム返しで相手が返しやすい球を投げることで、会話が続いていく。

 

【意図のある質問とない質問】

最初は、「ふつう」の雑談を見てみましょう。

A「週末の3連休中、Bさんは何をされていたんですか?」

B「家族との釣りに出かけましたよ」

A「釣りですか!いいですね。どこに行かれたんですか?」

B「伊豆のほうに行ってきました」

A「伊豆ですか、何を釣りに行かれたんですか?」

B「タイ釣りですね」

A「船で釣られたんですか?」

B「そうですね、船に乗って」

A「どれくらいの大きさの船ですか?」

 

…と、一見悪くない会話に見えます。が、釣りに詳しい人ならまだしも、あまり詳しくない人、興味のない人がこのように雑談を広げると、「特に意味のない無駄話」になってしまうのです。

この会話例でいえば、「何を釣りに行ったのか?」「船で釣ったのか?」「どれくらいの大きさの船なのか?」など、ただ間を埋めるための質問をしています。

こうした質問攻めが続くと、相手としては、まるで尋問をされているような印象を受けてしまいますし、何より質問している方が興味のない話題なわけですから、会話が一向に盛り上がりません。こうしたやりとりは、最終的には「手詰まり」となって会話を止めてしまいます。すると、噛み合っていない空気が生まれてしまうのです。(P.98~99)

☞これとまったく同じような「質問攻め」をやられた経験があるが、気持ちよく話すどころか、「それを知ってどうするのか」とだんだん腹さえ立ってきて、以後会話する気を無くした。知らない・興味がないのに無理に掘り下げようとするとこうなる。

 

では、どう改善すればいいのでしょうか?

たとえば先ほどの会話の分岐点でいえば、「釣りですか!いいですね。どこに行かれたんですか?」という質問です。

Aさんが「釣り」を深堀りできる知識があればもう少し盛り上げられたかもしれませんが、特に詳しいわけではない。この場合、そもそもボールを打ち返す方向を間違えているのです。

大事なのは、「Bさん」という人がどういう人か、ということ。つまりBさんのバックグラウンドやその人が持つ特性に注目することです。

(中略)

A「そういえば3連休中、Bさんは何をされていたんですか?」

B「家族と釣りに出かけました」

A「へえ、ご家族と!Bさんはバリバリお仕事をされていると伺ったので、ちょっと意外でした。ご家族との時間は取られるようにされているんですね?」

B「ええ、実は平日はなかなか子どもたちにも会えなくて、だからせめて休日は家族サービスを心掛けているんですよ」

 

といった感じで、Bさんのビジネスマンとしての印象とは異なる「家庭」というポイントに目をつけると、意外な一面が見えてきたり、相手の持っている価値観がわかるかもしれません。また、子どもがいるとわかれば、別の機会に「そういえば、この時期お子さんはもう夏休みですか?」などと聞くこともできますよね。

このように、意味のある質問にするためには、常に相手を見て話すことが大切です。どのようなバックグラウンドを持った人なのか注目しながら会話のポイントを拾っていくようにすると、会話が深まり、相手との距離を縮めていくことができます。

(P.100~101)

☞その出来事やモノについて詳しくないとき、出来事そのもの、あるいはモノそのものにフォーカスするのではなく、その出来事を体験した、モノを所有している「人」にフォーカスを当てるという質問の極意が説かれている。これは目から鱗だった。営業するにしても、生徒を指導するにしても、相手がどんな人物なのか、何が好きで、どんな価値観を持っているのかを知っていることが、成功につながる。使いこなすには練習が必要だろうが、ぜひとも身に着けたい極意だと思う。

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雑談を通して、相手の人柄や関心の方向性が見えてくる。ゆえに、一流の営業は雑談力にも長けている。では、その「雑談力」を磨くにはどうすればよいか?この疑問に真正面から答えたのが本書。ベストセラーになっているので知っている方も多いだろう。(私も以前購入していたことに気づかず、改めて購入してしまった)

実際、雑談で話が盛り上がると、それだけでよい信頼関係が結ばれることを本書を読んだ後に直に体験した。営業の場面だけでなく、生徒や同僚との関係を良好なものにしていくためにも、雑談力は継続して磨いていきたい。

 

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