「チョークとソロバン」両立への道

塾講師として数字を出す「営業力」を身に着ける勉強ブログ

【書評】質問型営業でアポ取り・訪問がラクになる アプローチは「質問」で突破する! 青木毅

お客様は、基本的に売り込まれることに抵抗感があって、自分の意志と適切なタイミングで買いたいと思っておられます。ほしい情報はインターネットですぐに収集できるのがいまの世の中ですから、お客様は自分が納得できる物を、納得できる時期に買おうとします。(P.15)

☞私自身を振り返ってもよく分かる。買い物でなくても、自分の意志に関係なく強引に進められることはこの世で一番嫌い。

 

こちらがアプローチした時点では、お客様の欲求は低い状態にあるとお話ししましたが、これは「欲求がない」のではなく、「欲求が明確になっていない」ことを意味します。(中略)質問を投げかけられることで的が絞られていき、漠然としていた商品のイメージが、やがて明確になっていきます。そしてイメージが明確になるにつれて、商品に対する欲求が俄然高まってきます。と同時に、営業マンもお客様の欲求が具体的にわかるので、それにかなった商品を数点選んで、お客様に提示できるようになります。

(P.18~19)

☞質問によって欲求を明確にし、「自分から買いたい」という状況に持っていけば、確かにアプローチは確実になりそう。

 

営業とは「お役立ち」であるという観点に立った瞬間に、すべては「お客様のお役立ち」のための質問に変わったのです。仲良くなる、話を盛り上げる、自分のことをわかってもらうということがなくなったわけではありませんが、意識としては、そんなことよりも「お役に立つ」ことに集中しました。そして、お役に立つために、その人のことを知るのです。だから雑談を素早く終えて、相手に関することを質問するのです。お客様の立場から考えても、雑談で時間をとられるよりも、個人的なことを聞かせてもらうほうが、お客様のことがよくわかり、よりお役立ちできるようになりますし、お客様自身も聞いてもらった方が嬉しいはずです。(P.46)

☞営業とは、「売る」ことではなく、「お役に立つ」ことだと著者の青木さんは随所で説かれている。確かに「売ろう」とすれば商品の魅力を訴えるなど、「伝える」ことに重きを置きがちになるが、顧客の欲求に適っていなければ、どんなに懸命に伝えてもスルーされてしまう。しかし「お役に立つ」という意識で臨めば、どうすればお役に立てるのかを考えるようになり、必然的に顧客のことを知ろうとするようになる。そこで武器となるのが「質問」というわけだ。なるほど、思想と手法が一致している。

 

参考として、不動産業者の営業マンとお客様の会話を示します。

「お客様、お問い合わせありがとうございます。ところで、今回なぜご自宅のご購入を考えられているのですか?」

「子供が大きくなったのでね。」

「そうですか、おいくつですか?」

「今度、小学校に入学するんだ」

「それはおめでとうございます」

(続けて、どこの学校かなど現状を具体的に聞く)

「では、そういう中で、どのような物件をご希望ですか?」

欲求について具体的に聞く)

「では、どのように探してこられましたか?」

(今までに解決策を探してきたかなどを具体的に聞く)

「では、今までのお話をもとに、いくつか物件を出してみますね」

提案する)

このようにアプローチの質問とは、「①現状②欲求③解決策④提案」の順に繰り出せばいいのです。そうすれば、お客様は自然に「欲求を自ら見極めて、引き出し、高める」のです。(P.52~53)

☞生徒の勉強法をアドバイスする際の流れにとてもよく似ている。

 

AIDMA(アイドマ)の法則」をご存じでしょうか。1920年代にアメリカ合衆国の販売、広告の実務書の著作者であったサミュエル・ローランド・ホールが、広告宣伝に対する消費者の心理のプロセスを表した法則です。AIDMAの法則では、消費者がある商品を知って購入に至るまでには、次の段階があるとしています。


A:Attention(注意)…お客様は、まだその商品やサービスを知らない状態
I:Interest(関心)…商品やサービスを知り、興味や関心を持った状態
D:Desire(欲求)…商品やサービスを「使ってみたい」という欲求が芽生えた状態
M:Memory(記憶)…その商品やサービスを完全に覚えた状態
A:Action(行動)…購買行動を起こす状態

質問で「注意」を引いて、質問で「関心」を見極め、質問で「欲求」を引き出し、質問で「記憶」に残るインパクトのある内容にし、その結果、お客様にプレゼンテーションの時間をとってもらうことができるようになったのです。

☞営業本で頻繁に出てくるAIDMAの法則も、それに応じた質問を繰り返すことで、段階を進めていくことができる。

 

来店型営業の場合、「お客様が目的を持って来られているから」と安心すると、お客様の欲求を把握しきれず失敗します。来店されたお客様であっても、欲求はまだまだ漠然としていると思ってかかり、質問を展開するのです。その際には、次のように言うとよいでしょう。

「お客様、ご来店ありがとうございます。私どもでは、より、お客様のお役に立ちたいと思っています。そのためには、お客様の状況やお気持ちを聞かせていただくことが一番だと思っています。利用する、利用しないということについては、お客様ご自身で判断頂くことですので、私どもではお客様に判断をお任せしております。ですから安心して、お答えいただければと思っています。そういう意味で、少しアンケートにお答えいただけますか。」

☞塾の場合は、来店型に当てはまる。その際のアプローチについても、やはり欲求を明確化していくプロセスが必要。

 

<アプローチの流れ まとめ>

第1段階:注意・関心を向けさせる

⇒挨拶

第2段階:人間関係を築く

⇒会社・その人のことを聞く、褒める、共感

第3段階:欲求を聞き提案する

⇒現状を聞く、欲求を聞く、解決策を聞く、欲求を聞く

☞これらの段階を踏んで、話を聞きたい、提案を聞きたいという状況を創り出してから、プレゼン・クロージングへ。

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青木さんの質問型営業の本を読むまでは、営業にはどこか「売り込む」というイメージがあって抵抗感があった。しかし、本書で説かれているように営業とは「お役立ち」であると捉えると、俄然積極的に取り組んでみようという気持ちになる。塾講師として営業するとは、生徒・保護者がどうなりたいか、どういう将来を望んでいるかを質問で丁寧に聞き取り、そのための提案を行い、必要な契約をしてもらうプロセスだと考えればよいのだ。質問型営業について、もっと学んでみたくなった。

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