「チョークとソロバン」両立への道

塾講師として数字を出す「営業力」を身に着ける勉強ブログ

【書評】蘇る営業「質問型営業」で結果につなげた9の実話 青木毅

私は『人は思った通りにしか動かない』『人は自分の思った通りに動きたい』という、人の行動原則を提唱している。これは、人は皆、自分の思い通りにやりたいと思っているということや。本来、他人を動かすことなんか絶対にできへんのや。これは老若男女共通なんや。だからこそ、君の仕事は、お客様のことを聞かせていただき、その欲求や課題の解決策を提示することや。(P.16)

☞自分で気づいたことや、自分で思いついた行動は、納得感が深く続けやすいということには、身に覚えがある。そもそもこうして営業について勉強をしているのも、誰かに言われたからではなく、自分で必要だと感じたから行っている。この大原則が、顧客と話をする状況あっても貫かれているということだ。

 

アプローチは『共感』で決まるんや。コミュニケーションが始まったら、『好意』や『質問』よりも大事なのは共感や。どこまでも『あなたのことを認めています』という表現しかない。それでコミュニケーションが回り始める。だから、共感に命を懸けるんや。心から、全身全霊をかけて深く共感出来たら、きみは相手に対してさらに好意を持てるようになってるはずや。相手も深く共感してくれた営業マンに、悪い気はせえへん。好意を持ってくれるようになるんや。すると、次の質問に入れるようになる。このコミュニケーションサイクルの『好意ー質問ー共感』では、タイミングとリズムが大切や。きみが共感できたら、相手が好意を持ってくれて、さっと質問に入るタイミングが持てる。相手はきみがしっかり共感してくれているという余韻を持ってるから、質問に自然に答えてくれる。つまり、リズムができるんや。こうして自然に、質問のタイミングではコミュニケーションのリズムで、つながっていくんや。(P.39~40)

☞営業は、「感情を持った人間」が相手のコミュニケーションであるという前提が、よく伝わってくる。この事例では、ケアマネージャーの忙しさに共感を示して、そこから自然に質問に繋がっていく様子が描写されていた。とはいえ「共感」は口で言うのは易しいが、実際にするのは難しいもの。相手の心情を察知するトレーニングを心掛けたい。

 

私は今まで大きな間違いをしていました。ひょっとすると、この決定的な間違いを多くの営業マンがやっているかもしれません。それは、『営業の役割は、お客様の手助けをすることにある』ということです。私は営業の役割はお客様の手助けだと思ってやってきました。これは間違いではありません。ただ、手を差し伸べ、一緒に解決策を導き出すと言いながら、実際はこちらが先に課題やその解決に乗り出し、自社のサービスの話へと進めていたのです。やはり、売りたいという気持ちが前に出ていたのですね。その瞬間に、お客様は自らの課題の解決に乗り出し損ねてしまいます。重要なのは、「お客様が解決に乗り出す」のか、「営業マンが解決に乗り出す」のかです。営業マンが解決に乗り出すと、どこかでお客様は人ごとになります。その状態でサービスを導入したとしても、課題を解決しようという意思が弱くなります。だから、サービスの活用が自然と弱くなるのです。反対に、自ら課題を発見し、お客様はその解決に乗り出そうという気持ちになった時には、自らが課題を解決しようという意思をはっきり持っています。ですから、サービスを導入した後の活用度合いがまったく違うのです。お客様は熱心に粘り強く活用し、そして、間違いなく成果をあげるのです。つまり、『営業の役割は、お客様が自ら解決に乗り出す手助けをすることにある』ということです。(P.111~112)

☞塾講師の仕事の本質に通じる。塾講師の使命は「生徒の成績を上げること」だが、その課題解決に講師が前のめりになって乗り出してしまうと、生徒も保護者もどこか人ごとになる。だが、実際に成績を上げるために努力しなければならないのは生徒本人であり、我々は指導によってサポートすることはできても、この努力の部分を肩代わりすることは本来できないのだ。講師として直面するトラブルの多くは、ここでのボタンの掛け違いに起因するように思われてならない。入塾面談や、講習前の面談で講座をお勧めする際にも、意識したいポイントだと思う。

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「質問型営業」の考え方・手法を導入したことによって、営業成績が見違えるように改善していく様子が指南役と営業の対話形式で描かれている。

青木さんの他の著書でも登場する『営業とはお役立ち』の基本姿勢が、アドバイスや営業自身の気づきの随所に散りばめられており、その姿勢で臨む前と後の変化が具体的な場面を通して描かれるのでとてもイメージしやすかった。

自信が揺らいでしまったときに、読み返したい一冊。

 

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